翡翠の城―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)



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王道ミステリー

一族経営の名門ホテルで、95歳になる老女、真理亜の住む別邸、碧水閣の取り壊しをめぐる意見の対立をきっかけに内紛が持ち上がる。
京介が修論で取り上げる予定の不遇の建築家、下田菊太郎が碧水閣にかかわった可能性がある、という情報からホテルを訪れた、京介、青、深春、そしてイタリアから帰った京介の師、神代教授は、その内紛に巻き込まれていって…

トリックなどは前回のほうが凝っていたかな、と思いますが、今回は登場人物がとてもよく動いていたと思います。
ぎょっとするほど濃い化粧の老女、美少女、言動のおかしい中年男性など、ミステリーの王道という感じでした。
巨椋一族のひずみや、過去の出来事などもどろどろしていて、いかにもな怪しげな雰囲気が楽しかった。
「建築家探偵」の肩書もこの巻ではいかんなく発揮されており、碧水閣の異様さが全体の空気に流れている気がします。

またそんな怪しい雰囲気の中、蒼の星弥によせるまっすぐな好意が爽やかでせつなくて、きらきらしていました。
とこどろころ垣間見える蒼の過去や、不登校だった彼が学校に行こう、と決意するくだりなどは、この後もシリーズが続いていることを知らなければ最終巻かと勘違いしてしまいそうです。

夏、という季節もよくマッチしていました。
トリックを見て感心するよりも、べたべたのミステリーの雰囲気を楽しみたい方におすすめです。
The bird will fry.......

 ホンモノの「翡翠の城」は見たことはないけれど、読んでいる間はまさに目の前にそれが広がっている。
 豪華で、幻想的で、どこか物悲しげな・・・。
 城をめぐる謎も同じように。
 もちろんミステリではあるけれども、全部を読み終わった後に、後ろか背中をポンとたたかれた気分になり、「私も前に進もう!」という気持ちになってくる。



講談社
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